お知らせ

2016年03月の記事

結構、危ないことがあります。・・・蜂窩織炎

私がお世話になった自治医大口腔外科では、5~6回/月の頻度で当直が回ってきました。
その際の仕事の内容は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、口腔外科に入院されている患者さんの術前術後管理、急変時の対応などです。
もうひとつは、救急外来を受診、搬送されてきた方への対応です。

当直の日は、たった1人で口腔外科に関すること全てを担うため、研修医の頃は大変心細く、翌朝の当直交代まで『頼むから、無事でありますように!』と、よく念じていたものです。

ある深夜、医局のソファーで居眠りしていると、静寂を切り裂く勢いでPHS電話が鳴り、
『はい、口外当直ですが…。』
『こちら救急外来受付ですが、激しい歯の痛みと、顔がかなり腫れているので受診したいとの外線が入っていますが…。』

『すぐ来てもらって下さい。』

さまざまな状況をシュミレーションし、深呼吸して待機です。

程なくして患者さん到着の報を受け、救急外来へ向かい、診察を開始します。
『こんばんは。どんな具合ですか?』
『仕事が忙しくて、虫歯を放っといたら、こんなになっちゃって…。』
『お父さん、忙しいとこ申し訳ないけど、この状態じゃ、家に帰せないわ。』

下の奥歯の虫歯を放置したことで、虫歯の穴からばい菌が入り、顎骨、頬部、顎下部、頸部へ波及し、顔面が著しく腫脹した状態でした。
放射線科へCT緊急撮影の依頼、血液検査、看護師さんに点滴の準備をお願いし、病棟に連絡し入院ベッドの確保…。
全てを終え、一段落し、缶コーヒーを一気に飲み干すと、夜が白々と明けていました。

蜂窩織炎(蜂巣炎)という病気があります。発生部位により、口底蜂窩織炎、頬部蜂窩織炎などがあり、頸部に及ぶと気道狭窄を起こし、危険なことがあります。
抗生物質が発達した現在でも、数%の確率で死に至ります。

自己判断、特に神経にまで及んだ虫歯の放置は危険です。
必ず歯科医院を受診しましょう!

(2016.3.17[Thu])

昔、神経を取ったのに歯が痛い・・・歯内療法の話

皆さんは、歯の神経を取ったことはありますか?
虫歯がかなり進行し、歯の痛み(自発痛)が持続的で、夜は一睡もできなかったといったご経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
これは、虫歯の穴から歯の中心部に細菌が侵入し、歯髄に不可逆的な炎症が生じたために起こる現象で、このような場合、歯の神経(歯髄)を取る処置(抜髄)を行い、症状の改善を図ります。

神経を取った後は、歯の根の消毒を数回にわたり行い、状態が安定したら、細菌や汚れが入り込まない様、歯の根の中に材料を満たして封鎖します(根管充填)。
これら一連の治療を歯内療法といいます。

しかし、歯内療法を行ったにもかかわらず、数年経過して、歯の内部に再び細菌感染がおこり、その結果、歯肉が腫れたり、咬むと痛かったりすることがあり、対応に苦慮するケースも少なくありません。

今回、『口腔細菌感染症として歯内療法を考えよう 今、わかっていること できること』と題した、大学同窓生向けの学術講演会に参加してきました。

最近の知見を踏まえ、少しでも再治療率の低減を目指し、明日からまた臨床の現場に向かいたいと思います。

2016.3.6[Sun]

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